【併願不可】国税専門官・財務専門官【どっちを受ける?違いは?】
国税専門官試験と財務専門官試験は、同じ専門職試験として、日程が被っているため併願が不可能です。
受験生の皆さんはどっちを受けるか非常に悩むことでしょう。そこで、今回の記事ではこの2つの試験について
- 業務内容
- 試験科目
- 採用難易度
以上3つに光を当て、検討します。
財務専門官と国税専門官の仕事
財務専門官の仕事内容
財務専門官の仕事は大きく分けて、
- 金融関係の業務
- 財政関係の業務
の2つがあります。
金融関係業務とは、民間企業から国に提出される有価証券報告書などが正しい内容であるかどうかを確認したり、金融機関の監督などを行っています。
財政関係業務とは、国の予算が適切に執行されているかという観点から他省庁に対して調査を行なったり、地方自治体に対してお金や土地・建物などを貸し付けたりしています。
財務専門官のやりがいは?
財務専門官は、様々な業務に携わることができます。
例えば上記であげた金融関係の業務ならば、金融機関に実際に立ち会って検査やアドバイスをしたりするだけではなく、証券取引等監視委員会という別の組織にいって、検察官や弁護士とともに投資者を保護するための業務を行います。
また財政関係の業務であれば、財政という観点からだけではなく、財という観点から国の財産である土地や建物の管理や運営を行い、場合によっては被災地に土地を貸し付けたり、市町村とともにまちづくりを考えたりなどの仕事もあるそうです。
このように、やはり多くの仕事をできるといえるでしょう。
国税専門官の仕事内容
国税専門官の仕事は、当たり前の事ですが全て税に関するものです。
おそらく普通の人が国税専門官と聞くと、公安職給料が支給されるから給料が高い・差し押さえや税の取り立てなどを行うから仕事がとても大変といったイメージを抱くでしょうが、実際には公安系の仕事ばかりでもなく、個人や企業の税務相談・損益計算書 貸借対照表の正誤分析など専門的で落ち着いた仕事内容も多いです。
国税専門官のやりがいは?
国税専門官は警察官以上に、正義感の強い人にはピッタリの仕事であると思います。税務相談ならば、税務関係の知識がない人を助けることができますし、税の徴収や差し押さえであるならば、誰もが払いたくない税金システムの維持に努めることで、公平で公正な世の中の実現に貢献することができます。マルサの女は有名ですよね。
財務専門官試験と国税専門官試験の出題科目
財務専門官試験の出題科目
教養40問+専門40問で、専門科目は
必須(28問) :ミクロ マクロ 財政学 憲法 行政法
選択(12題) :以下a〜i(全て6問) から2つ選択
a)民法+商法 e)経営学
b)統計学 f)英語
c)政治学+社会学 g)英語
d)会計学 h)情報数学 i)情報工学
財務専門官試験は、メジャーな科目が並んでいます。以前私が↓の記事で勉強すべきと述べた専門科目を全て勉強すれば
困る科目はないでしょう。財務専門官の試験科目は把握できたので、次は国税専門官試験の出題科目を確認しましょう。
国税専門官試験の出題科目
国税専門官試験の出題科目は以下の通りです。
教養40問+専門40問 専門科目は
必須(16問) :民法6問 商法2問 会計学 8問
選択(24題) :下記a〜i(全て6問) から4つ
a)憲法+行政法 e)政治学+社会学+社会事情
b)ミクロ+マクロ f)英語 g)商業英語
c)財政学 d)経営学 h)情報数学 i)情報工学
財務専門官試験と比べて特徴的なのは、商法や会計学が必須である事です。選択科目である24題は他試験の勉強をしていれば困る事はないでしょうが、商法や会計学は国税でしか使わないから勉強したくないという人も多いでしょう。
ここでみなさんが悩むのは、
- 科目的に併願のしやすい財務を受けた方が採用される確率が高いのか否か
- 国税は会計学を捨てたら受からないのか
こういった事であると思います。
そこでこれらを検討するため、まずは以下の2パターンの確率を比較してみましょう。
- 商法と会計学を捨てて国税を受ける場合
- 財務を全科目勉強して受ける場合
どちらの方が採用されやすいでしょうか?もし仮に前者の方が採用されやすいなら、科目に悩まずに試験を選択する事ができますね。
以下では、両パターンの比較をしてみることにします。
国税と財務の採用難易度比較(商法会計学捨てたver)
まずは、実務教育出版のデータで通常の場合の一次合格ボーダーを確認しましょう。
http://www.jitsumu.co.jp/gokaku_navi/guide/senmon_d/pdf/senmon_d_13.pdf
<国税一次合格ボーダー>
http://www.jitsumu.co.jp/gokaku_navi/guide/senmon_d/pdf/senmon_d_12.pdf
<財務一次合格ボーダー>
こちらをみると、
- 国税の一次ボーダーはここ2年40/80程度
- 財務の一次ボーダーはここ2年49/80程度
(※今年度もこのくらいでしたので実質ここ3年)
である事がわかります。
国家公務員試験の場合、面接記述が並なら最終合格ボーダーは一次に3〜5点程度足してやればよいので、
- 国税の最終合格ボーダーは44/80程度
- 財務の最終合格ボーダーは53/80程度
であります。
この数値から、国税で商法と会計学を捨てた場合の採用難易度を比較するため(会計学と商法以外は半分以上同一問題であり難易度はしいて変わりません)、財務の最終合格ボーダーである53/80を取れる能力をもったAさんが会計学と商法を捨てて国税を受けたというパターンを検討しましょう。
Aさんの例
- 仮定①:Aさんは財務の試験ならば、53/80を取る事ができるため最終合格できる。
- 仮定②:結局Aさんは国税の試験をうけたが、全く勉強をしていない会計学+商法10問の部分は、5択の期待値である2/10しか取れなかった。
- 仮定③:国税の試験は、半分程度が財務の試験と被るなど難易度がほぼ同じであるため、Aさんは会計学と商法を抜いた部分は財務を受けた場合に得られる正答率と等しく取れた。
- 仮定④:計算するにあたっては、最悪の場合を考えて財務で10/10取れるはずの部分が商法+会計学になったとする。
仮定①〜④より、Aさんは会計学と商法を捨てて国税を受けると45/80を取る。
国税の安圏は44/80程度なので、Aさんは会計学と商法を捨てても国税の最終合格を勝ち取る事ができます。
以上により筆記面では圧倒的に財務の方が難しく、会計学と商法を捨てても国税の方が受かりやすいことが分かりました。
ただ↓でも述べたように国家公務員試験は
最終合格=採用ではなく、財務と国税の場合職場訪問という官庁訪問に等しい面接が行われるので、職場訪問の倍率も計算に含めなければいけません。
職場訪問の倍率を人事院のデータをもとに計算すると、
- a)財務は500/150=3.3倍
- b)国税は3000/1200=2.5
と財務の方が職場訪問の倍率も高いことが分かります。
したがって、やはり科目選択を理由に国税ではなく財務を選ぶのは筋違い(会計学と商法を捨てても国税の方が採用されやすい)という結論を得る事ができました。
科目に悩まず、自分が受けたい方を受けましょう。
勉強法は以下を参照に