10分でわかる公務員試験の全体像
今年も残すところ残りわずかとなり、来年の公務員試験が近づいて来ましたね。
『公務員』は、社会が成熟しきったこのご時世、定年まで安定して続けられる数少ない職業として、とても人気が高い職業となっています。(下記マイナビ調べによると1位:地方公務員・2位:国家公務員)
就職希望先ランキング1位は地方公務員 - 2位は? | シゴト | マイナビニュース
このように就職先として人気な公務員ですが、実際に回りを見渡してみると、『公務員になるための勉強をしている人』ってあまりいないように私は思うんです。
この是非はとりあえずおいておいたとしても、公務員になるためのハードルが高いと一般的に思われていて、この難易度に対しての認識が、公務員になりたい人の足かせになっているのではないでしょうか?
ネットを見渡してみても、‘予備校に行かないと絶対に合格できない’だとか、‘公務員試験は科目数が多くて大学受験よりキツイ’などという書き込みをよく見ます。
しかし私が実際に独学で公務員試験の勉強をしてみて思ったのは、「公務員試験の本質」を掴み要領よく勉強をすれば、試験は決して予備校に行かなければ無理なものでも、大学受験よりも難しいものでもないということです。
そこで今日は、「公務員試験の本質」について簡単にまとめてみようと思います。
公務員試験とは?
そもそも公務員試験はどんな内容であるのでしょうか?
わたしが思うに、試験の特徴を掴むことは、「公務員試験の本質」を掴み、要領よく勉強するために必要不可欠であると思います。
よって、まずは公務員試験の役割と内容についてさらっとまとめてみます。
公務員試験はそもそも、役所が優秀な人材を採用するために行われます。
試験は、国の機関が行う以上、明確で公平な内容で実施する必要があります。
ここで設けられたのが、明確な答えがあり、受験者の能力や努力を完全に点数化できる筆記試験です。人物重視と言われる現代の公務員試験でも、大体の試験において5割以上の受験生が落とされるほど、筆記試験の重要度は高いです。
ただ、筆記試験には問題点もあります。最も重大な問題点は、能力にはコミュニケーション能力や文章能力など様々な指標があり、筆記試験だけではこれら全ての能力を測る事が難しいという点です。
そこで、面接試験と論文試験という筆記試験をカバーする2つの試験が設けられ、これら3つの試験を総合的に判断する事で優秀な人材を確保するという、現在の公務員試験制度ができあがりました。
したがって公務員になるためには、基本的にはこれら3つの試験を突破する必要があります。
筆記試験の傾向
公務員試験の内容についてわかってもらったところで、次は筆記試験の傾向についてみていきましょう。
筆記試験は、基本的に大学の教授や各界の専門家などが集まる、「公務員試験問題作成委員会」によって毎年作られています。
この作成委員会で働く方々は臨時の公務員であるため、定年まで問題を作ったりするわけではないのですが、委員会は毎年ほとんど同じメンバーであったり、変更がなかったりという事が多いです。
具体的には、こちらの予備校の文面が全てを物語っています。↓(http://thefuture.co.jp/saishin/2002_04.html より引用)
4/13 国家公務員採用試験の試験委員決まる 4月1日の官報で各種国家公務員試験の試験専門委員が発表された。
外務専門職では試験委員に変更なかった。国家 I 種では変更は少ないが、2次総合試験で新たに政策研究大学院大学の御厨貴教授が就任された。また法律職の2次専門試験の行政法では東京大学の小早川光郎教授が2年ぶりに復帰された。
- 試験委員に変更がなかったり、
- 試験委員の変更が少なかったり
- 2年ぶりに復帰されたり
と、やはりほとんど同じ人が担当している事がわかります。
毎年同じメンバーが試験を作っているということから、公務員試験の問題には一定の傾向や特徴があります。
ということは、
傾向や特徴をおさえて、適切な対策を施す事
ができるはずですね?
ここまで読んでピンときた人がいるかもしれません。
そうです、
過去問をひたすら解いて傾向や特徴を掴む事
これが「公務員試験の本質」の核にあたるものです。
とはいっても、よくわからない法律や経済の問題をひたすら解けといわれても、そんなの無理ですよね。
そこで必要なのが、まずは科目の全体像や基礎事項を勉強する事。
過去問を解くことがアウトプットにあたるならば、基礎事項をおさえる事はインプットにあたります。
つまりプロセスで言うならば、
- 手順①:基礎事項を抑える(インプット)
- 手順②:過去問を解く(アウトプット)
というふうになるわけです。
ここまでくると、「公務員試験の本質」について、少なくとも筆記試験については答えが見えて来たのではないでしょうか?
答えをいってしまうと、
「各科目の参考書で基礎事項をインプットし、過去問でひたすらアウトプットすること。」
これが筆記試験の全てです。
どうでしょう。少なからず、筆記試験についてはなんとかなりそうな気がしてきたのではないでしょうか?
筆記試験の具体的な勉強法と参考書
筆記試験については、過去問をメインに対策をすればいい事が分かりました。しかし、ひとえに「基礎を理解してから過去問を解く」とは言っても、どんな本で基礎を理解するのか・どうやって過去問を解けばいいのか、 など疑問点は多いはずです。そこで、次は具体的な勉強法について解説していきます。
公務員試験には、「基礎を理解してから過去問を解く」というプロセスを体現した参考書が2種類あります。
具体的には
- スーパー過去問ゼミシリーズ
- クイックマスターシリーズ
の2つで、これらの参考書は各科目毎に出版されていて、それぞれの論点が
- 基礎事項ページ(インプット)
- 過去問ページ(アウトプット)
- 解説ページ(レビュー)
の3段階で構成されています。
つまり、たった1冊で基礎事項と過去問の両方を勉強する事を可能にしているのです。
よって、基本的にはこれらの参考書をメインに勉強し、全科目の勉強が終わったら志望先の過去問を解くという手順で勉強する事になります。
しかし、「全科目これらの参考書を解くだけで解決!」なんて流石に美味い話はあるわけがありません。
これは各個人の捉え方にもよりますが、
- 法律科目(理解に時間がかかる科目)
- 経済学科目(理解に時間がかかる科目)
- 数的処理科目(最も出題数の多い科目)
これら3科目は、上記の参考書を解き始める前に、別の解説が詳しい参考書で基礎を固めるという手順を踏むべきです。
なぜならば、上記で述べた参考書は、基礎事項は述べられてはいても、ページ数の都合から(3段階構成のため)各科目の全体像や細かい解法などが省かれているからです。
つまり、手順としては
- 普通の科目:スーパー過去問ゼミ or クイックマスター
- 法律・経済・数的:基礎事項を学べる参考書→スーパー過去問ゼミ or クイックマスター
- 全ての科目の勉強が終わったら:志望先の過去問
となるわけです。
論文試験について
筆記試験についての簡単な解説が終わったので、次は論文試験について考えてみます。
そもそもの問題ですが、「論文」とは何か分かるでしょうか?よく論文・感想文・レポートの違いすら分からない人を見るのですが、これらは全く別のものです。レポートにはレポートの書き方が、感想文には感想文の書き方があるように、論文にも論文の書き方があります。
論文の試験があるという事は、論文といえる書き方をしている必要があります。具体的に論文とは、「自分の意見を主張する文章」で、英語でいうと「stateする」事に近い意味であります。
つまり、
自分の意見を論証し、相手に納得させる事
これが論文の目的という事になります。
これは私個人の考えになりますが、この目的を達成するためには、
- 論文の書き方
- 頻出テーマ
以上2つを勉強するべきであると思います。
よく公務員試験の論文対策といって、②の頻出テーマだけを勉強する人がいるのですが、私から言わせてもらうと、そうした勉強法は、知識もないのに過去問を解くことと同じ行為であります。
むろん①が元から完璧であれば、②だけを勉強すればよいのですが、論文の書き方って、大学4年生の卒業論文を書くようになるまで普通教育では学ぶ機会が無いように思うのです。
実際に大学受験で某KO大学や国立2次で小論文を課されるところを受ける人は、論文の書き方の勉強をしていましたよね?私は大学受験と同じで公務員試験においても、論文は書き方からしっかり勉強する必要があると考えています。
また頻出テーマの勉強というのは、このテーマはこのような論点が問題となる、あのテーマはあのような論点が問題となるというのを頻出テーマについて勉強するという事です。文字のみで説明すると分かりづらいので具体例をあげてみましょう。
論文試験の頻出テーマには、例えば高齢化社会についての論点や情報化社会の論点があるのですが、これらについての文章を書いて、論文の目的である「納得させる事」を達成するためには、高齢化社会の現状や問題点・情報化社会の具体例やこれからの動向など具体的な知識が必要です。これがすなわち頻出テーマの勉強であるのです。
つまりここまでを手順としてまとめると、過去問ももちろん大切なので
- 論文の書き方の勉強
- 頻出テーマの勉強
- 過去問
この3段階が必要ということになります。細かくいうとまだあるのですが、この記事は明快完結を目的としているので、詳しくは他の私の記事を見てもらいましょう。
面接試験について
公務員試験は資格試験とは違い、採用試験であるため、社会性や人間性を測るための面接試験が設けられています。私が受けた体感として、公務員の面接試験も民間企業の面接試験も大差はないと考えております。というのも、面接試験対策の具体的な手順が、
- 自己分析
- 業界研究(役所研究)
- 企業研究(志望先研究)
- 面接カード記入(ES記入)
という方法で行われ、これらの対策を施すだけだからです。あとは面接官の目を見て笑顔話し、シメるところをシメましょう。
民間企業と比べてしまえば、面接の倍率は高いところで10倍程度なので、難易度も大したことはありません。
細かくいうとまだあるのですが、こちらも他の記事に譲ることにしましょう。
まとめ
どうだったでしょうか?みなさんがこの記事を読む前に比べて、公務員試験に感じていた高いハードルが少しでも下がっていてくだされば嬉しいのですが‥。
私自身は、公務員試験は適切なプロセスで勉強をすれば、それほど難しいことでもないと考えています。実際に、公務員試験受かる勉強法落ちる勉強法【2018年度版】の本でも、適切な勉強法を実行すれば、600時間で合格できると書いてあります。この時間は東京大学や京都大学に入るのに必要だと言われている、3000時間の1/5程度にすぎません。公務員を目指すみなさんが、ハードルを感じずに公務員になる事ができる事を望むばかりです。