国家本省の種類と仕事一覧【やりがいは?】
国家公務員を目指している人も、そうでない人も公務員の仕事内容や種類について全て把握している人はほとんどいないと言ってもいいのではないでしょうか?
そこでこの記事では、タイトルの通り国家公務員の種類と仕事内容について、組織の観点から1府11省庁全てを解説します。長くなりすぎるので、出先機関や外局の種類に関してはまたのちの記事でまとめます。
内閣府
内閣府の所管業務
トップを内閣総理大臣とするなど、政治に近いのが特徴。
所管業務は大まかに
- 重要政策に関する企画立案・総合調整
- 他省庁の枠に収まらないもの
と2つに分けることができる。
前者は簡単に言えば内閣、特にリーダーである内閣総理大臣がリーダーシップを発揮できるように法律で内閣府が担当する事になっている業務である。例えば、安倍内閣の謳っている一億総活躍社会を実現するための政策(ダイバーシティの推進・国全体でのワークライフバランスの改善)や防災対策・北方領土対策などである。
後者は、天皇に関する業務や沖縄振興など他の省庁の所管から漏れてしまう業務である。
内閣府のやりがいは?
何と言っても業務内容の幅が広い。
しかも、年々政治主導の強化が進みこの幅はさらに広まっている。色々な事、しかも最先端の政策に携わることができるのは内閣府だけといってもいいだろう。
財務省
財務省の所管業務
国の財に関する業務全て。
ここで「財」と書いたのは、国債や国有財産などお金とは言えないものも所管しているからだ。さらにタバコや酒なども、国の財(税金)に関する事として所管している。また視野を海外に広げれば、外国為替政策や資金援助なども行っている。
財務省のやりがいは?
多くの大規模な業務に携わる事ができる。
幅でいえば内閣府には劣るかもしれないが、「財」に関してであれば殆どの業務を所管しているので基本的には何でもできる省庁と言える。例を挙げれば、予算折衝や国有財産の管理などで他省庁の業務や政策にも干渉する事ができる。
経済産業省
経済産業省の所管業務
国を豊かにする事すべて。
すごく曖昧だが、まさにこの一言である。
例えば、内閣府が一億総活躍社会・男女共同参画社会実現の観点からダイバーシティを推進しているのに対し、経済産業省はあくまで国を豊かにするためという観点から企業に女性・外国人・高齢者の雇用を促している。女性や外国人など、従来のように成人男性だけではない様々な人が企業で働くことで、視野が広がり開発能力の向上などに繋がると考えているのだ。他にも、
- ①環境省が環境への観点からエネルギー政策を
- ②厚労省が労働環境改善のためにワークライフバランス政策を
立案・実施しているなら、経済産業省は
- ❶国を豊かにするため、エネルギー自給率向上政策を
- ❷ワークライフバランスの改善が労働生産性の向上に繋がると、ワークライフバランス政策を
立案・実施している。
経済産業省のやりがいは?
常にプラス思考で考え、仕事に取り組むことが出来ること。
他省庁が政策として規制や監督を行う事もあるところ、経済産業省は基本的に企業への補助金の交付に関する政策の立案や、オリンピックで多くの外貨を得るための政策の立案など常にいい場合を想像してイケイケドンドンで働くことが出来る。また、業務幅という観点からみても、国を豊かにする事であれば何でもできるといえるだろう。
文部科学省
文部科学省の所管業務
広義での「学び」全て。
大きく分けると
a)教育 b)科学技術 c)文化 となっていて、
全てを将来世代への先行投資と位置付けている。例えば、
- 教育政策なら、次世代の社会にはどのような能力が必要かを検討し、その社会で必要とされる能力を持った人材を育成する事を目指し、
- 科学技術政策なら、有能な人材が付加価値を容易に生み出せるような生き生きとした環境を作り上げる事を目指し、
- 文化政策なら、文化を次世代へ継承させる事で研究開発・自己認識を高める事を目指す。
文部科学省のやりがいは?
未来を見据えた仕事ができる。
経済産業省や財務省なども将来を見据えた経済政策を立案・実施しているが、「先行投資」という観点から直接「人」や「知」に働きかける事ができるのは文部科学省だけといってよい。
総務省
総務省の所管業務
総務省の所管業務は大きく
- 旧自治省の業務
- 通信関係の業務
と2つに分ける事ができる。
前者は、行政改革・行政評価・地方自治体への関与など国を対象とした業務である。
特に地方公共団体への影響力は強く、しばしば地方交付税を減らしたい財務省と揉めているのは有名だ。
後者は、違法な電波独占を取り締まったりICTを推進したりなど簿記勘定科目の「通信」費のように広義での通信を所管する。
総務省のやりがいは?
自治の分野であれば、
日本をより良くする制度設計を考えることができる。しかも、出向の機会が多いので、地方自治体や他省庁に出向して得られた知見を活かすこともできる。
通信の分野であれば、
ICTの最先端で働く事ができる。新たな産業の創出に関わる事ができたりと、毎日が刺激的なことだろう。
厚生労働省
厚生労働省の所管業務
厚生労働省の所管業務は、大きく
- 厚生に関すること
- 労働に関すること
の2つに分ける事ができる。厚生に関することとは、「あの企業は福利厚生がしっかりしている」などという時に使われる『厚生』とほぼ同じ意味だ。国による厚生とは、国民の生活を豊かにしたり、健康にしたりする政策の立案や実施である。例えば、年金や医療保険など各種社会保障も厚生に関することに含まれる。現在では独立行政法人化しているが、近頃年金の運用
で5兆円の大赤字を出したGRIFも元は厚生省の所管であった業務を担当している。
後者の労働に関する業務とは、まさに現在推進しているワークライフバランスの拡大などの取り組みだ。
厚生労働省のやりがいは?
私たちの現在・未来の生活に直結している。
本省採用国家公務員の場合、政策の立案や企画を主な業務内容とするため、仕事内容に実感が持てない場合が多い。しかし厚生労働省の業務は、まさに自分達の生活のありようを決めることを内容とするためなんのために働いているのかというのを実感しやすい。
防衛省
防衛省の所管業務
「国を守る事」の一言に尽きる。
中国の海洋進出・北朝鮮の弾道ミサイル・サイバー攻撃・宇宙空間対策など近年国を脅かす事態がとても多く、防衛省の役割は強まっていると言えるだろう。防衛装備庁が新しく設置されたのも注目だ。
防衛省のやりがいは?
自衛隊などを指揮する側であることから、実質的に国を守る業務に携わることができる。物理的に国を守るという業務内容は、広く見ても防衛省にしかないといえるだろう。
外務省
外務省の所管業務
簡単にいってしまえば、対外とのやりとりに関わることである。具体的には、大使館などの「在外公館」との連絡等を通して世界的な課題の解決や、日本の対外的な地位向上・平和の確保を目指す。
外務省のやりがいは?
資源がなく、軍隊もない日本は対外とのやりとりが必須といえる。今後人口が減少し資源もさらに枯渇していく中で、対外とのやりとりの重要性はますます高まっていくだろう。そんな中、日本の存続のため対外とのやりとりを専門とする外務省で働くのは、非常にやりがいがありそうだ。
法務省
法務省の所管業務
名前の通り、法を司る。そもそも法とは、治安維持や権利保護のために制定されるものであるため、法を司る法務省では国民の権利を守るため法を整備したり、人権関係の業務を行ったりしている。
法務省のやりがいは?
非常に専門性の高い業務に携わることができる。国家公務員の業務内容は地方公務員に比べて専門的であるのが特徴だが、中でも登記・人権・司法・など法をつかさどる法務省は、特に専門性が高い仕事ができるでしょう。
国土交通省
国土交通省の所管業務
国土交通省の所管業務は大きく分けて
- a)旧運輸省の業務
- b)旧国土庁の業務+旧建設省の業務
の2つに分類できる。運輸省は、旧国鉄を始めとする交通関連の業務と気象関連の業務を所管し、国土庁と建設省は国土の管理及び開発を所管する。つまり単純に考えれば、広義でのインフラの維持及び発展を所管し、国及び国民の安全を確保するために存在しているといえるだろう。
国土交通省のやりがいは?
地方分権が進んだいまでこそ、地方自治体に都市開発インフラ管理の権限移譲が多少行われたが、昔は地方自治体がバス停を数cm動かすだけでも国(国土交通省)の許可が必要であったように、国のインフラ管理の権限は非常に大きい。よって、都市開発や整備など大規模な公共業務に触れたければ国土交通省は非常に魅力的な職場であるといえるだろう。
環境省
環境省の所管業務
これほどまでに所管業務のはっきりしている本省もないだろう。いうまでもなく
持続可能な、より良い環境を目指すための業務を所管している。
環境省のやりがいは?
文部科学省と被るが、未来を見据えた仕事ができる。エネルギーにしても環境にしても、未来世代や他国とのバランス調整が必要であり、常に将来の事を考えて仕事ができる。
また自分の行っている業務が地球規模での役割をもつというのは、スケールの大きい仕事といえるのではないだろうか
農林水産省
農林水産省の所管業務
簡単にいえば、農業・林業・水産業などの第一次産業の監督・発展・管理運営を所管する。具体的には
食料の安定供給・卸売市場の監督・土地改良事業などである。
農林水産省のやりがいは?
近年日本の食料自給率の低下やTPP協定への批准などで第一次産業への社会的関心は強まっており、どうしても国の保護・支援・監督が必要な分野であるため、農林水産省の職員一人一人のやりがいも大きいだろう。具体的には
- a)食料の安定供給の確保
- b)海外への日本食のPR
- c)機械化による構造改革の推進・法人化
などで国の果たす役割は大きい。
国家公務員の種類について参考になる本