公務員試験の参考書と勉強法-独学式-

公務員試験に独学で合格するための参考書と勉強法をまとめたブログ

国家出先機関の種類一覧【やりがいは?】

 

 

前回の記事で、国家公務員(本省職員)の種類と所管業務について紹介をしました。文章量の都合等から本省のみの紹介となってしまい、出先機関について整理することができなかったので、今回は出先機関職員の種類と所管業務・やりがいについてを組織の観点からまとめてみることにします。

 

はじめに:出先機関とは?

 

出先機関とは、中央省庁の反対機関であります。中央省庁は国の政策を企画・立案するところであるので、つまるところ出先機関とは、国の政策を地方において実施・監督する機関です。

例として厚生行政を取り上げましょう。仮に中央省庁である厚生労働省で、以下2つの政策が立案されるとします。

  1. 企業に労働者の待遇改善を義務付ける政策A
  2. 若者の就業を支援する政策B

こうした2つの政策は立案されるだけでは意味をなさず、実際に遂行される必要があります。

そして、まさにこれら政策の遂行を実施・監督する立場にあるのが出先機関ということになります。この場合政策Aでしたら、労働基準監督署が政策を地方において監督し、政策Bでしたら、ハローワークが地方において実施する機関となります。

これらを踏まえ、個々の出先機関の所管業務とやりがいなどをみていきましょう。

 

経済産業局

 

経済産業局の所管業務

 

経済産業局は、経済産業省の出先機関であるため、経済産業省の立案した政策を実施する機関であります。

具体的な所管業務としては、経済産業省や中小企業庁の獲得した補助金を配る企業を選定したり、経済産業省の推進している政策(女性・外国人雇用推進)を実施した企業を表彰したりしています。

 

経済産業局のやりがいは?

 

経済産業省の本省では、国富を拡大するための様々な政策が立案されています。

これに対し経済産業局は、こうした政策を実施する側の立場であるため、実際に現場に赴いて意欲のある経営者を選定し、その経営者へ補助金を配るための申請をしたり、経営者の海外展開や事業展開をサポートしています。

つまり、より現場に近い立場から日本経済をサポートすることができます。これは出先機関全てに共通する点ではありますが、より現場に近い立場から仕事をできるというのは、自分の仕事の役割を実感できたり、多くの人々と関われたりとメリットが沢山あるのではないでしょうか。

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こうしたダイバーシティ戦略を例にあげれば、ダイバーシティという大きな枠組みの政策を考えるのが経済産業省、個別の企業を選定するのが経済産業局の役割になるでしょう。

 

法務局

 

法務局の所管業務

 

法務局は法務省の総合出先機関として、供託・人権擁護・登記・戸籍・訴訟など多くの事務を行なっています。

具体例を挙げますと、登記を電子記録化したり、国の代理人として裁判を行ったりしています。

 

法務局のやりがいは?

 

法務局では、国家機関でありながら非常に国民に近い立場で、しかも国民目線で仕事を行うことができます。

最近社会的に関心の高まった例をあげますと、「ヘイトスピーチから被差別者の人権を守る仕事」も法務局の所管業務です。このような「ヘイトスピーチを許さない」というポスターを見たことがある人もいるのではないでしょうか?

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こちらも法務局で作られたようです。

 

他にも、大切な財産である土地を不正に奪われたりしないように適切に管理したり、市町村の行なっている戸籍事務が適切に行われるようアドバイスをしたりと、やはり私たち国民に近い立場から、しかも国民目線で行う仕事が多いです。市町村の仕事も国民に近い立場で行うことが出来ますが、専門性の高さや権限の大きさを考えると法務局の仕事には国ならではのメリットもありそうです。

 

入国管理局

 

入国管理局の所管業務

 

入国管理局は、法務省の管轄であり、難民の認定や出入国の管理などを行なっている機関です。つまり、外国人をメインに対応したり手続きしたりする仕事であります。 

 

入国管理局のやりがいは?

 

テロ問題や移民問題に国際的な関心が集まる中で、日本でも不法入国者を取り締まったり、入国審査を適正に行なったりする必要性が高まっていると言えるでしょう。

実際に近年、外国人旅行客の増加や、観光立国政策の一環として、入国管理局の職員である入国審査官の採用増員が決まったことは有名です。

headlines.yahoo.co.jp

したがって、現在入国管理局の仕事は国や国民から求められていると言えるでしょう。

国民に求められている仕事をやるというのは、公務員として働く上で大きなやりがいとなることでしょう。

 

地方検察庁(検察事務官) 

 

地方検察庁(検察事務官) の所管業務

 

地方検察庁は、法務省の出先機関です。

検察事務官の仕事は大きく

  1. 検察官の補助
  2. 検務部門(事務部門) 

の2つに分ける事ができます。

検察官の補助とは、検察官とともに事務捜査を行なったり、検察官の起訴・不起訴の事務上の手伝いをしたり、公判の立会いを行ったりします。

検務部門とは、警察から寄せられた証拠品の管理をしたり、犯罪歴の調査をしたりなど、事務を行う仕事です。

 

検察事務官のやりがいは? 

 

検察事務官の仕事は、検察官と2人で捜査を行ったりするなど、非常に専門性の高い業務である事が特徴的です。また、悪を罰し秩序を守るという目的が明確にあるため、正義感の強い人や公安系の仕事に興味がある人には天職であると言えるでしょう。大卒であれば2年目以降に公安職の給料が支給されるのも魅力的。

ドラマ「HERO」でキムタクとともに出演していた松たか子の役が検察事務官でしたね。すごい人気で見所のあるドラマでしたが、実際の仕事もあのように魅力的なのでしょうか?

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行政評価局

 

行政評価局の所管業務

 

行政評価局は総務省の出先機関です。

行政評価局の所管業務は大きく分けて

  1. 行政評価
  2. 行政相談

の二つです。

行政評価というのは、法律で各省庁が行う事になっている政策評価を第三者的な立場から評価したり、独自の観点から各省庁の政策を分析したりすることです。これは、PDCAサイクルで言えばCの部分に当たるもので、現在日本行政に不足している政策の見直しやチェック機能の強化の役割を果たすことを期待されています。

対する行政相談というのは、国民から寄せられた政策に対する意見・苦情・要望などを受け、国民と関係機関の間に立ち、第三者的な立場から現状把握をし、必要であれば改善や実現の促進を図る業務です。

 

行政評価局のやりがいは?

 

国家財政が厳しい状態にある中で、近年政策評価や行政評価に対しての社会的要請が強まっています。実際に、政策評価委員会が結成され、日本の政策評価システムの問題や、会計検査・予算執行調査などとの協調不備が問題点としてあげられています。

そうした中で、今現在ホットでこれから役割の強まっていく行政評価に関われるというのは非常にやりがいがあるのではないでしょうか?

また、行政評価・行政相談という観点から他省庁の政策を大量に分析したりするので、刺激的で面白い業務とも言えるでしょう。

 

行政評価や政策評価については行政学や公共経済学でも研究対象となっているので、興味があるならば一度学んでみると面白いかもしれません。私も一度政策評価について勉強をしましたが、経済学や経営学の考え方・ツールなども扱いながら交えてコスト分析や政策分析をするのは面白いですよ。

通信局

 

通信局の所管業務

 

通信局は、総務省の出先機関です。

通信局と名のつく通りICT・放送・電波など通信に関係する大方の業務を所管しています。

また通信政策の実施や促進だけではなく、免許の付与や監視など、規制関係の業務も所管しています。

 

通信局のやりがいは?

 

時代の最先端、いわゆるナウい業務に携われるのが最大のやりがいでしょう。スマホやテレビなど、意外と生活に身近な内容を所管しているのも特徴的。つまり、身近で発展性のある仕事の最先端で働くことができるわけです。

 

財務局

 

財務局の所管業務

 

財務局は、財務省の出先機関です。現在は財務専門官試験から採用のため、他で紹介している出先機関と違い、国家一般職からの採用ではないのに注意。

財務局の所管業務は大きく分けて

  1. 金融関係の業務
  2. 財政関係の業務

の2つがあります。

金融関係業務としては、民間企業から国に提出される有価証券報告書や財務諸表を確認したり、金融機関の監督などを行っています。

財政関係業務としては、国の予算が適切に執行されているかという観点から予算執行調査を行なったり、地方自治体に対してお金や土地・建物などを貸し付けたりしています。

 

財務局のやりがいは?

 

財務局は、出先機関の中では数多くの業務を所管している方なため、様々な業務に携わることができます。

例えば上記であげた金融関係の業務ならば、金融機関に実際に立ち会って検査やアドバイスをしたりするだけではなく、証券取引等監視委員会という別の組織にいって、検察官や弁護士とともに投資者を保護するための業務を行います。

また財政関係の業務であれば、財政という観点からだけではなく、財という観点から国の財産である土地や建物の管理や運営を行い、場合によっては被災地に土地を貸し付けたり、市町村とともにまちづくりを考えたりなどの仕事もあるそうです。

このように、非常に多くの業務を所管している出先機関であるといえるでしょう。

 

国税局・税務署

 

国税局・税務署の所管業務

 

国税局・税務署は、財務省の出先機関です。また、国税専門官試験 or 税務職員試験により採用されます。

国税局と税務署の所管業務は、当たり前の事ですが、全て税に関するものです。

おそらく普通の人が国税局・税務署と聞くと、公安職給料が支給されるから給料が高い・差し押さえや税の取り立てなどを行うから仕事がとても大変といったイメージを抱くでしょうが、実際には公安系の仕事ばかりでもなく、個人や企業の税務相談・損益計算書 貸借対照表の正誤分析など専門的で落ち着いた仕事内容も多いです。

 

国税局・税務署のやりがいは?

 

国税局や税務署は警察官以上に、正義感の強い人にはピッタリの仕事であると思います。税務相談ならば、税務関係の知識がない人を助けることができますし、税の徴収や差し押さえであるならば、誰もが払いたくない税金システムの維持に努めることで、公平で公正な世の中の実現に貢献することができます。マルサの女は有名ですよね。

マルサの女<Blu-ray>

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税関

 

税関の所管業務

 

税関は、財務省の出先機関です。

税関の役割は、テロ・知的財産権の侵害などを未然に防ぎつつも物流の円滑化を推し進めることにあります。こうした水際政策のような役割は誰にでもわかるでしょうから、別の視点で考えてみましょう。

なぜ、税関は財務省の出先機関なのでしょう?対外とのやりとりならば外務省の出先機関で良いはずですし、法的な問題を処理するならば入国管理局のように法務省の出先機関でよいでしょう。実は、税関にはその名の通り「税」 に関する業務が多いんですね。グローバル化の進んだ現在日本では、なんと税金の1/5程度が海外からの関税で賄われています。

もちろん、水際政策のようなものも大切ですが、「税」の徴収という業務も忘れてはいけないものです。

 

税関のやりがいは?

 

税関は、グローバル化が進んでいく中でより役割が強まっていく機関であると言えるでしょう。特に、近年輸入量の増大とともに麻薬などの違法物の密輸件数は増加の一歩を辿っていています。税関はこうした密輸を取り締まる反面、法務省や外務省などの関係機関・商社などの民間企業の協力も得つつさらなる貿易活動の推進を目指し、手続きの電子化や効率化を目指さなくてはなりません。

こうした各方面、しかも対外や民間企業にまで大きな影響力を持っている税関で働くのは、とてもやりがいがあるといえるでしょう。

 

農水省出先機関(農政局・森林管理局・漁業調整事務所)

 

農政局・森林管理局・漁業調整事務所の所管業務

 

森林管理局と漁業調整事務所が非常に小さい機関であるため、農水省の3出先機関をまとめて解説することにします。

これらは、農水省の出先機関として、本省で立案された各政策を実施・監督する機関です。監督対象が第一次産業であるので政策の実施というがピンときにくいでしょうが、簡単にいってしまえば、生産者やその消費者が働きやすい・あるいは暮らしやすい環境を作るための仕事をしているということであります。

例えば現在日本では、農業・林業・水産業といった第一次産業の担い手は減少していますが、これは生産者には大きな利益を見込めない上に土地まで必要という参入のしにくさが問題となっていて、消費者には食料を安定して確保できないかもしれないという事が問題となっています。こうした働きにくい・暮らしにくいといった現実的な問題を改善するために、農水省の各機関は、本部である農水省が決めた「参入者への補助金」「消費者に安定した食料を供給するための食料管理」といった具体的な政策を実施し、よりよい環境を作ろうとしているのです。

 

農政局・森林管理局・漁業調整事務所のやりがいは?

 

日本の第一次産業は、他国と比べると参入のしにくさや土地の手に入れにくさなど制度面に多くの問題点があるので、これら各機関ではよりよい環境の構築のために、やりがいのある仕事が沢山あるのではないでしょうか。

また、担い手の高齢化や減少・TPPの導入(トランプ氏は反対派ですが) といった差し迫った問題が多いこともあり、明確に課題を設定して働く事ができる環境であるでしょう。

 

労働局(労働基準監督署含む) 

 

労働局の所管業務

 

労働局は、厚生労働省の出先機関であり、大きく分けて

  1. 職業安定行政(ハローワーク) 
  2. 労働基準行政(主に労働基準監督官試験より採用) 
  3. 雇用均等行政

の3つを所管しています。

職業安定行政とは、皆さんが知っている通り、ハローワークに代表される国の機関で、求職者と事業者の橋渡しの役割を担ったりするものです。

労働基準行政とは、労働者の労働条件保護や労災保険の提供を行うものです。最近あった電通での過労死事件も、労基が立ちいった事が知られていますね。

雇用均等行政とは、男女の機会均等や育児休暇介護休暇制度の支援を行ったりするものです。

 

労働局のやりがいは?

 

労働局のやりがいは、お客様である国民に最も近い立場で働ける環境でしょう。 しかも、労働というのは人間の生活の中でとても重要なポジションを占めているので、国民に近い立場から人々の生活を大きく左右する労働をサポートできるというのは非常にやりがいがある事でしょう。

ハローワークというと、昔から既卒者向けのイメージがありますが、現在では新卒の就労にも力を入れていて、セミナー・模擬面接・相談などを無料でやってくれます。

www.mhlw.go.jp

整備局

 

整備局の所管業務

 

整備局は、国土交通省の出先機関です。また、国税局の次に大規模な地方機関である事も特徴的。

その所管業務は主に、

  1. 河川・公園など社会資本の整備
  2. 洪水・地震など災害への対応
  3. 建設業・地方自治体などへの監督

の3つに分かれています。

 

整備局のやりがいは?

 

整備局のやりがいは、なんといっても自分の目に見える形で仕事の成果が現れる事でしょう。

社会資本の整備にしても、災害への対応にしても、自分が関わり設計や監督したものが、目に見える形で成果として現れ、はたまた場合によっては新聞の記事になったりするというのは非常にやりがいがあるといえるでしょう。

 

運輸局

 

運輸局の所管業務

 

運輸局は、国土交通省の出先機関です。

その所管業務は大まかに

  1. 交通に関する事
  2. 観光に関する事

の2つに分ける事ができます。

交通に関する事とは、過疎化の進んでいる地域の公共交通をコンパクトシティの考えに基づき再構築したり、物流の効率化を目指したりといったものです。さらに身近なものでいうと、自動車の登録なども運輸局の業務の1つです。

観光に関する事とは、地方において訪日外国人の受け入れ体制を強化したり、観光地のブランド作りやビジネスの創出をしたりするものです。政府の訪日外国人旅行客3000万人達成の目標設定以降、役割が強まっている仕事であります。

 

運輸局のやりがいは?

 

交通行政にしても観光行政にしても、地域の発展や維持につながる仕事に関わる事ができます。最近話題になった例ですと、都心でのタクシーの初乗り運賃の値下げは、運輸局の管轄業務内であるため、運輸局の認可の上で下げられることになりました。地域での交通や観光を、様々視点から検討して、許認可や政策の実施をしているということですね。

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