公務員試験の参考書と勉強法-独学式-

公務員試験に独学で合格するための参考書と勉強法をまとめたブログ

【予備校の添削は必要(?)】教養論文の書き方

論文試験というと、大学受験の際の小論文に始まり、何を勉強していいのかわからず何もしなかったり、とりあえず予備校で添削してもらって満足する人が多いように思います。
しかし論文というのは、明確な答えはないにしろ明確な採点基準はあり、しっかりと勉強をすれば高得点を取れる科目です。
また、他は独学でも論文だけは予備校に通って添削してもらうべきだと言う人が多いですが、その必要はありません
なぜなら、公務員試験の論文を書くのに必要なスキルは全て参考書で学ぶ事ができるからです。それに、論文は人に添削してもらい添削結果に一喜一憂するものではありません。
というのも、根本的な論文のスキルを学ばずに文章をテキトーに構成し、それを添削してもらった所でなんの意味もないからです。
大切な事はしっかりとした書き方や知識を学び、自ら設定したテーマや過去問のテーマを適切なスキルの元組み立てる事です。
添削は本来その後の話ですが、本で勉強すれば合格点を取れる公務員試験には必要のない事です。司法試験合格を目指しているなら添削してもらって下さい。
 
では前置きは以上にして、勉強法を検討します。
 

はじめに:論文の概要とコツ

 

そもそも、“論文の意味は『広辞苑』によれば
意見を述べて議論する文章
目的論的に考えれば、自分の書いた文章を相手に納得させる必要がある
わけです。
では、どうすれば自分の書いた文章を相手に納得させる事ができるでしょう?
具体的には3つコツがあるのですが、ここで1つ1つを説明すると前置きが長くなりそうなので結論からいうと、
  1. 文章の書き方(作文技術) 
  2. 論文の書き方(論文の構成方法)
  3. 頻出テーマ(論文に必要な知識) 
の3つを勉強する必要があります
f:id:dokugakukoumuin:20170214220901j:image
では、それぞれ順に見ていきましょう。
 

論文の勉強手順①:『理科系の作文技術』で文章の書き方を学ぶ

 

論文を書くのにまず必要な技術は、作文の技術です。
日本では、与えられた課題から自分でテーマを設定して論理的な文章を書くという機会が大学までありません。その代わりにあるのは、事実を忠実に再現する能力や表現力などが求められる自分の経験や感想などを書く機会で、論文に必要な技術とは正反対のものが求められます。こうした背景を考えると当たり前のことであるとも思うのですが、しっかりとした作文技術を身につけていないために、論文に苦労している人が多いのではないかと思います。
実際に大学受験で小論文の対策をする際には、このような背景を考慮して、まずは文章の書き方を勉強するのが基本ですし、皆さんや皆さんの周りにも文章の書き方を勉強していた人がいるのではないでしょうか?
私は公務員試験の論文対策をするにも、まずは大学受験と同じく文章の書き方を学ぶのが基本だと思うのですが、他サイトなどでは手順③で紹介する知識のみの勉強が推奨されている事が多いように思います。もちろん大学の卒業論文の添削などで文章の書き方を学んでいるなら別ですが、そういった経験を経ずに文章を構成する1パーツにすぎない頻出テーマの知識のみを学んでも、頭デッカチになるだけでまともな文章など書けるようにはなりません。
 
まあ抽象的な話をグダグダ続けても分かりにくいと思うので、本を参照しながら作文技術の役割を確認していきたいと思います。
以下で紹介するような作文の技術があやふやな人は、まずは文章の書き方から勉強しましょう。問題なさそうであれば、飛ばして手順②の勉強から初めても良いと思います。
この本は、作文技術のコツが詰まった新書です。
 
タイトルに「理科系」と書かれていることから理系の文を書くための本じゃないの?と思うかもしれませんが、カバーに
ひたすら明快・簡潔な表現を追求したこの本は,理科系だけでなく文科系の人たちにも新鮮な刺激を与えるにちがいない
と書かれているように、理系・文系問わず文書を書く人すべてに役立つ内容です。
 
  1. 前半は、マクロの観点から、文章の組み立て・パラグラフ・文の構造の解説を
  2. 後半は、ミクロの観点から、具体例を元に言葉の使い方などのポイントを解説しています。
 
本書の中で著者は、作文技術について以下のように(一部抜粋) 述べています。
 

内容の精選

 

必要なことはもれなく記述し,必要でないことは一つも書かないのが 文書を書くときの第一原則である。(P6から抜粋)

 

事実と意見の区別

 

文書を書くときには,事実と意見の区別を明確にすることが重要である (P7から抜粋)

 

記述の順序

 

相手はまっさきに何をしりたがるか、情報をどういう順序にならべれば読者の期待にそえるか、ということに対する(P6から抜粋)

 

明快・簡潔な文章

 

文章全体が論理的な順序にしたがって組み立てられていなければならない
(a)一文を書くたびに、その表現が一義的によめるかどうかを吟味する
(b)はっきり言えることはぼかした表現を避ける
(c)できるだけ普通の用語を使い、またなるべく短い文で構成すること (P8から抜粋)
 
 
一見すると当たり前の事ではありますが、こうした当たり前のルールを守る事が、人に見せる文章を書く際には必要なのです。 
<理科系の>というタイトルに抵抗があるのなら、同著者が<文科系の学生>向けに読みやすいように『理科系の作文技術』の内容を改訂した『レポートの組み立て方』でも良いでしょう。

論文の勉強手順②:論文の書き方(≒論証法) を学ぶ

 

文章の書き方も学ばないといけないのに、論文の書き方ってなんだよ、両方同じじゃないの?って思った方もいるでしょう。
確かに、わざわざ論文の書き方は勉強しなくても合格点に届くかもしれません。しかし、確実に合格点を取りたいのであれば、論文の書き方(論証法) をしっかり勉強する必要があります。
論証というのは、自分の推論・理論・意見の結論が正しい事を論理的に示す事です。(つまり、論証法とはその方法です。)
この記事の一番初めに、論文の目的は相手を納得させる事にあるというのを説明しました。そうであれば、どのように or どうやって相手を納得させるのかといった方法論である論文の書き方(≒論証法) を学ぶ事で相手をより納得させる(=より高得点を取る)必要があるのです。
「論証」という論文の本質に言及される事が少ない中で、基礎から論文の書き方や論証法を学ぶ事ができる以下の本は非常に参考になることでしょう。

はじめに
Ⅰ キミは論文って何かを知っているか
 第1章 論文の宿題が出ちゃった!
 第2章 論文には「問いと主張と論証」が必要だ
 第3章 論文にはダンドリも必要だ
 第4章 論文とは「型にはまった」文章である
Ⅱ 論文の種を蒔こう
 第5章 論文の種としてのアウトライン
 第6章 論証のテクニック

目次引用

 

この本は、論文の書き方を複数個の鉄則という形で紹介しており、論文の書き方を学ぶのに非常に参考になる本ですが、中には「公務員試験の論文」の書き方の習得に拘るという人もいるでしょう。私としては、論文の書き方はルールとして明確にあり、その書き方に必要な知識を当てはめる事で「公務員試験の論文」も対応できると思うのですが、そういった方のために、公務員試験用に特化した参考書も紹介しておくことにします。

この本は、論文の書き方がわからない、何を書いたらいいのかわからないといったのために出版された本で、

  1. どのように書けば論文になるのか
  2. 論文の綺麗な書き方はどのようであるのか

というような、まさに論文の書き方に焦点を当てて書かれた本です。

したがって、手順③で紹介するような論文に必要な知識などは習得する事ができませんが、「公務員試験の論文の書き方」を学ぶ事に特化された本であるといえるでしょう。

 

もう一つ「公務員試験の論文の書き方」に特化された本として、『現職採点官が教える!合格論文術』があります。

この本は、現職採点官によって書かれた本で、特に「公務員試験の論文の書き方」に焦点が当てられています。

「公務員試験の論文」の目的や書き方はもちろん、採点官としてどのような答案を評価するか、どのような答案がダメな例であるかなど、現職採点官の握っている情報を得る事もできます

 

以上までが、論文の書き方に必要な技術を身に付けられる本の紹介ですが、文章の骨格を掴んだり論証のパターンを把握することを実践的に学ぶ事ができる本として『論理トレーニング101題』があります。

 

具体的には、以下のような問題を、解説とともにひたすら解いていく本であります。

次の文章のおかしな点を指摘せよ。

「清潔はビョーキだ」の著書がある東京医科歯科大の藤田紘一郎教授(寄生虫学)も、座り派の増加について「清潔志向が行きすぎてアンバランスになってしまっている」と指摘する。「出たばかりの小便は雑菌もほとんどいない。その意味では水と同じぐらいきれいだ。なんで小便を毛嫌いするのか。ばい菌やにおいを退けすぎて、逆に生物としての人間本来の力を失いかけている一つの表れでないといいのですが」

(朝日新聞、2000年3月26日付朝刊)

野矢茂樹(2001)  『論理トレーニング 101 題』産業図書 より引用
 
分かったでしょうか?
これは『論理トレーニング101題』の一番はじめに、論理トレーニングの目的と方針を明らかにするために紹介されている問題です。
この本は、こうした論証の不備を指摘する問題や、論証の骨格を捕まえる問題を繰り返し解くことで、文章を読み解く力、ひいては文章を書く力を向上させることをめざすものです。

実際に著者である野矢氏は、新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ)の中で、論文の書き方と論理トレーニングの類似点ついても述べています。

問題形式であるので、文章理解で出題される現代文の対策にもなるでしょう。

 

以上までをみても、論文の書き方・論証の仕方についてのイメージを中々掴めない人がいるかと思います。

そういった方は、私が↓で背理法という論証の仕方を用いて文を構成してみたので、参考にしてみてください。論証が何かというのがわかると思います。

参照:具体的な書き方実践

www.dokugaku-koumuin.com

 

論文の勉強手順③:『頻出テーマのまとめ方』で必要な知識を身につける


作文技術について勉強したところで、知識がなければ相手を納得させる文章を書く事はできません
たとえば、

  1. 高齢化社会
  2. 災害問題
  3. 情報通信技術


などの内容が、公務員試験の教養論文ではよく出題されるのですが、これらについての文章を書いて相手を納得させるには

  1. 高齢化社会の原因や現状
  2. 先駆的な災害対策 海外の災害対策
  3. 情通信技術の動向ゆ問題点


など具体的な知識が必要ですよね。
したがって、

  • a) どのようなテーマが論文として出題されるのか
  • b) aのテーマではどのような知識が必要なのか


この2点を身につけておく必要があるわけです。

この参考書で、テーマ毎に知識を付けましょう。全てやる時間がなければ志望先の傾向を把握し、よく出る分野の知識をつけるなどメリハリをつけて勉強しましょう。

 

論文の勉強法は以上とさせていただきます。

論文の勉強法まとめ

理科系の作文技術(文章の書き方) →論理トレーニング101題・論文の教室・無敵のメソッド・現職採点官(論文の書き方) →頻出テーマのまとめ方(知識) 

//トップに戻るボタンの設定
//トップに戻るレンジの設定