3ヶ月で合格するスケジュール・計画
ブログに、
- 短期間 公務員 合格
- 3ヶ月 公務員 合格
というワードで辿り着く方が多かったので、本記事ではこれらの方々(限られた勉強時間で公務員を目指す方) を対象とした独学での勉強法とスケジュールを検討します。
私も1月末の大学のテスト後に勉強を始めて、5月末の国家公務員試験に短期合格したので役に立てると思います。
ただし、以下の勉強方法は少ないインプット時間故の穴もあるので、時間があるならば他の記事で述べている正攻法をおすすめ致します。
あくまで、3カ月程度の時間しかない方向けの勉強法である事をお忘れなく。
スケジュールについては、3ヶ月計画での勉強法を述べたのち、最後にサンプルを提供します。
はじめに:公務員試験と過去問
公務員試験短期合格のポイントは、
ひたすら過去問を解く事
なぜなら、毎年問題作成者が殆ど同じ人達で構成されていて傾向が偏りやすいからです。
過去問が重要で問題作成者がほぼ同じであることは、こちらの予備校の文面が表しています。(http://thefuture.co.jp/saishin/2002_04.html より)
4/13 国家公務員採用試験の試験委員決まる 4月1日の官報で各種国家公務員試験の試験専門委員が発表された。
外務専門職では試験委員に変更なかった。国家 I 種では変更は少ないが、2次総合試験で新たに政策研究大学院大学の御厨貴教授が就任された。また法律職の2次専門試験の行政法では東京大学の小早川光郎教授が2年ぶりに復帰された。
- 試験委員に変更がなかったり、
- 試験委員の変更が少なかったり
- 2年ぶりに復帰されたり
とやはりほとんど同じ人が担当しており、実際に試験を受けたり過去問を解いた感想としても試験問題には一定の傾向や特徴があります。
同じく出題の傾向が偏っている大学入試センター試験を経験した事がある人ならわかるでしょうが、一定の傾向がある試験を対策するのに最も有効な手段は過去問を解く事です。
よって、特徴ある公務員試験も過去問をひたすら解く事が重要な訳ですが、もちろん知識が全くない状態で問を解いても意味がありません。ではどうすればよいのかというと、問題を解ける程度の基礎知識をインプットしてから過去問を解けば良いのです。
このプロセスを体現した参考書に『スー過去』があり、スー過去は①レジュメ②過去問③解説の3本立てで構成されています。レジュメの部分では対象科目の1分野についての基礎知識がまとめられていて、過去問の部分では、過去問から抽出されたその分野の問題がまとめられています。
という事はスー過去を解けばいいのかというと、それはそうなのですが、3ヶ月程度の期間しかない場合、時間的に全科目分のスー過去を解く余裕はありません。
じゃあどうしようもないじゃないかと思われるでしょうが、まだもう一つ手段があります。それは、『問題を解ける程度の基礎知識をインプットしてから過去問を解く』という原点に立ち返り、これをもっとも効率的に行う事です。スー過去は過去問がまとめられているとは言っても、様々な公務員試験の問題がまとめられています。また、基礎知識がまとめられているレジュメがあるとはいえ、厳選された過去問を集めた問題部分がメインの参考書であるので、基礎知識についても、わかりやすく簡潔に書かれているとは言えません。
これらから、スー過去を用いる勉強方法は、受ける試験が決まっているのであれば、最も効率的な勉強方法であるとは言えないでしょう。そうであれば、インプット後に直接志望先の過去問を解く。つまり、スー過去を解かない事。これが超短期での合格に必要な最も効率的なプロセスです。
もちろん、優先順位の高い科目から確実に潰していくという普通の勉強方法を取れないという大きなデメリットもありますが、一般的に半年・800時間の勉強が必要と言われている公務員試験を3ヶ月で合格するには仕方ありません。
よって以下では、
- 一般教養
- 専門科目
の順に短期間で効率よく要点を詰め込める導入本を紹介し、最後に論文とスケジュールについてを述べることとします。
『時間がなく市役所のみ』という方は、一般教養と論文の箇所のみを参照してください。
一般教養試験科目の勉強法と参考書
自然科学勉強手順3ヶ月版:センター本→過去問
自然科学(物理・化学・生物・地学) の導入は、大した労力を必要としません。
なぜなら、大学入試センター試験で物理基礎・化学基礎などの科目が新設され、これら新科目の参考書が公務員試験の導入にピッタリだからです。
これには、
- 新科目は従来の物理Ⅰ化学Ⅰ等科目の半分程度の範囲・密度である
- 新科目の参考書は高校生対象ゆえ、丁寧に説明が書かれている
- 公務員試験の教養科目は基礎しか出題されない
といった理由があります。
特にセンター⚪︎⚪︎の基礎が面白いほどとれる本シリーズの参考書が、絵も豊富で解説も丁寧なためオススメ。
実際に私も地学と生物でこのシリーズの参考書を利用しましたが、きっちりと理解をした上で5日で2科目の導入を終える事ができました。
公務員試験の自然科学には、これら⚪︎⚪︎の基礎が面白いほどとれる本の参考書を導入として読みましょう。
人文科学(日本史・世界史)の勉強手順3ヶ月版:大航海時代・江戸以降のみをクイマス→過去問
人文科学の歴史分野は非常に範囲が広く、導入だけで大量の時間を取られます。
範囲が広く出題数も少ないため、3カ月短期での合格を目指す人は捨ててしまう事が多いですが、日本史なら江戸以降・世界史なら大航海時代以降の部分のみは勉強しておくべきです。
なぜなら、歴史の7割程度が上記範囲からの出題であり、歴史は全ての試験で出題されるからです。
しかし、上記範囲に勉強を絞っても導入に長時間を取られてしまいます。
それではやはり捨てるべきじゃないかと思うでしょう。
ですが、とっておきの方法があります。
それは、公務員試験用の問題集であるクイックマスター(以下クイマス) のレジュメページ※を読んでから、基礎問題をときつつ重要ワードを記憶していくという方法です。
※クイマスは問題ページに入る前に、重要事項がまとめられているページ(=レジュメページ) があります。
上記範囲に絞り、このレジュメページの用語を暗記し、後ろの問題ページを解きつつエピソード記憶を刺激して補強する事で効率的に導入を終えられます。
つまり、歴史に関しては導入本をやるのではなく、クイマス上記範囲のレジュメを読みこむ→問題を解くというプロセスを導入と擬制するのです。
人文科学(地理・思想)の勉強手順3ヶ月版:クイマス→過去問
地理と思想に関しては範囲が狭く、絞ったり特定の本を読まずともクイマスのレジュメページのみで必要事項が殆ど勉強できるようになっているので、こちらもクイマスで導入擬制としましょう。
文章理解の勉強手順3ヶ月版:(シス単→)過去問
文章理解は、並に英語が出来るならば、現代文も含め志望先の過去問のみでたります。
英語が苦手の方のみシス単の、ステップ1と2の単語を覚えてから過去問をやりましょう。
この英単語帳のコンセプトは「一語一義主義」。1つの英単語につき、中心的なひとつの意味をおさえ、効率的に英単語を覚える事を
コンセプトにしています。
ひとつの意味に集中することで、記憶の定着率を高めることが狙いです。
公務員試験の教養英語は、難易度もしいて高くなく、基礎的な単語のみ覚えてしまえば解けるようになっているので、単語の勉強と過去問だけで十分です。
数的処理の勉強手順3ヶ月版:(中学数学→玉手箱→)過去問
私は数学が出来る方ならば、いきなり過去問をやって構わないと思います。
数学が苦手ならば、導入本をやってから過去問をやりましょう。
この際注意する事が一つあります。それは、中学レベルの数学がわからない方は、いきなり導入本に進むのではなく、 中学レベルの数学を完璧にしてから導入本をやる事 です。(つまり二重に導入を行うということ)
導入本で一番優れている玉手箱は、表紙に「数学がわからなくても大丈夫」なんて書いてありますが、垂直二等分線・接舷定理・三角系の内心外心など中学レベルの数学となると、流石に説明が省かれています。
なので、そういった方は一見遠回りに思えるかもしれないですが、きちんと中学数学を完璧にしてから導入本に進んでください。
過去問を解く時にも中学数学の内容は出てくるので、結局は勉強して理解する必要があります。
私が塾講師として生徒相手に数学を教えている時に利用したのですが、この本が薄くて手っ取り早く中学の数学を復習できるのでオススメ。
具体的には、
- 1分野2ページというコンパクトな内容→左ページが公式や例題で右ページが練習問題
- 分野ごとに整理されているため、理解済みの分野を飛ばすことができる
- 問題をときつつ公式や基礎を確認できる実践的な内容
その後は玉手箱2冊に進むのが王道。
導入本としてはワニ本も有名ですが、
- ワニ本は10年近く改訂されておらず内容が古い
- スー過去や過去問の解説との整合性が玉手箱の方が取れている
この2点を考えると玉手箱の方がよいです。改訂され、最新の傾向にも対応しています。
教養の導入は以上となります。
市役所のみを受ける方は、以上が終わった後過去問をひたすら回しまくりましょう。
合格確実と言われている7割程度ならこの方法で、到達する事が可能です。
専門科目の勉強法と参考書
専門科目も時間がない人は
簡単な導入を終わらせる→過去問を何度もこなすのがベスト。
一番手っ取り早く基礎を学ぶ事ができる導入本を法律→経済→行政系の順で紹介致します。
時間がないなら専門科目は8科目程度で良いでしょう。基本的には、
- 憲法 民法1 民法2 行政法
- ミクロ マクロ 政治学 財政学
の8科目に加えて、行政学 社会学をやるかやらないかという所だと思います。
憲法・民法・行政法の勉強手順3ヶ月版:伊藤真本 or 寺本本→過去問
法律の導入は、司法試験に合格した経歴のある伊藤塾設立者の伊藤真氏が法律の入門者向けに書いたこちらの本がおすすめ。ページ数も少ないため手っ取り早く基礎を学ぶ事ができます。
伊藤真氏の参考書の特徴は、法律という取っ付きにくい科目の全体像を誰でも分かる日常用語や例を用いて1冊で解説するとともに、各項目の繋がりが分かるよう参照ページを設け立体的に把握する事を可能にしています。時間がない際の導入にはうってつけ。
公務員試験の参考書に拘るならば、寺本氏のザ・ベストプラスがオススメです。
自身が予備校の講義で使用しているプリントとほぼ同じ内容を収録している上、解説動画も公開しているので、最新の傾向への対応も○。
経済学(ミクロ・マクロ)の勉強手順3ヶ月版:らくらく経済学入門→らくらくミクロ→らくらくマクロ→(過去問)
経済は専門の中でも最も難しく理解に時間がかかる科目なので、概観から細部への勉強を意識し、導入を入念に行う必要があります。
具体的には、ミクロ経済学の勉強の前に、経済学の基礎の勉強をする事をオススメします。
大学の経済学部でも、ミクロやマクロといった専門的な経済学の授業が開講される2年次の前の1年次に、「経済原論」など経済学の基礎科目が開講されています。
これは私個人の考えですが、経済学ができない人は、経済学独特の基礎的な考え方やツールなどを理解せずに、いきなりミクロやマクロといった専門的な経済学の勉強を開始している事が多いように思います。よって、私は経済学の基礎からの勉強を推奨します。
その後はミクロ・マクロ各科目の導入を行いましょう。注意点としては、経済は時間がないのに過去問ばかり深く勉強しすぎるのは禁物です。
なぜならば、問題や解法を一個一個暗記して点を取れるようになる科目ではないからです。入念に導入を行い、確認は傾向把握程度にしましょう。
社会学政治学行政学の勉強手順3ヶ月版:まるパス→過去問
暗記科目は、まるごとパスワードという暗記科目の導入には最適の単語帳のような本があるので、こちらに乗っている頻出ワードを単語のように覚えて導入としましょう。
頻出ワードの下に説明があるため、英単語ほどつらい暗記ではありません。
経営学・財政学の勉強手順3ヶ月版:スー過去→過去問
経営学と財政学はまともな導入本がありません。やるならば、スー過去で導入擬制とするしかないでしょう。
ただ、財政学は勉強記事で述べた通り
- 前年度の予算・財政事情など時事的な分野
- リンダール均衡など財政学オリジナルの分野
- ミクロ・マクロと被る分野
と主に3分野で構成されていて、aは時事と、cはミクロ・マクロと被るため、新たにやる内容はすごく少ないです。私はおすすめしたい科目。
専門の導入は以上となります。国家や地方上級を受ける方は、何度もこちらの過去問を回しましょう。
論文の勉強法と参考書
論文の記事は
に用意しているので簡単に済ませます。
論文だけは正攻法(上記記事)で勉強する事をオススメします。足切りに引っかかってしまえば、元も子もありません。
3カ月で合格するスケジュール表
2月 | 3月 | 4月 | 5月以降 | |
---|---|---|---|---|
憲法 | 伊藤真本3周 | 過去問 | 過去問 | 過去問 |
民法 | 伊藤真本3周 | 過去問 | 過去問 | 過去問 |
行政法 | 伊藤真本3周 | 過去問 | 過去問 | 過去問 |
ミクロ | らくらくたまご3周 | らくらくミクロ3周 | らくらく計算編3周 | 過去問 |
マクロ | らくらくマクロ3周 | らくらく計算編3周 | 過去問 | |
財政学 | スー過去3周 | 過去問 | ||
政治学 | まるパス3周 | 過去問 | 過去問 | 過去問 |
数的処理 | 導入本4周 | 過去問 | 過去問 | 過去問 |
時事 | 速攻の時事3周 | 過去問 | 過去問 | 過去問 |
一般知識 | センター本orクイマス3周 | 過去問 | 過去問 | 過去問 |
おおよそこのような感じで。基本的には、導入が終わったらひたすら過去問→過去問。