公務員試験の参考書と勉強法-独学式-

公務員試験に独学で合格するための参考書と勉強法をまとめたブログ

経済学(原論・ミクロ・マクロ)

 

 

ミクロ経済学・マクロ経済学は、公務員試験の各科目の中でも、数式やグラフを使ったりなど数学チックな所があるため、初学者には敷居が高く、つまづく人が多い科目。
ただ、出題数・暗記科目への負担・経済学の知識が必要な財政学の勉強への影響などを考えると、専門科目のある試験を受ける受験生に、経済学を捨てる人など殆どいないのが現状。
したがって、人並みには解けるようにしておきましょう。それでは、本題の勉強法と参考書をご覧ください。
 

はじめに:経済学の勉強手順の概観

 

スー過去と導入本

 

スー過去とは、実務教育出版さんが出している本。
公務員試験は、各学会の専門家が集まる問題作成委員会によって作られています。その問題作成委員会が毎年ほぼ同一のメンバーから構成されているという理由や、試験の正答率の調整という理由から、試験の問題には一定の傾向や特徴があります

同じく出題の傾向が偏っている大学入試センター試験を経験した事がある人ならわかるでしょうが、一定の傾向がある試験を対策するのに最も有効な手段は、過去問を解く事です
よって、特徴ある公務員試験も過去問をひたすら解く事が重要な訳ですが、もちろん知識が全くない状態で問題を解いても意味がありません。ではどうすればよいのかというと、基礎知識を学んでから過去問を解けば良いのです。
体的なプロセスとしては、独学の場合は同科目の過去問のみを集めて編集された過去問題集である『スー過去』か『クイマス』を使って勉強するのが基本となります。

『スー過去』『クイマス』は分野ごとに別れていて、それぞれの分野が①レジュメ②過去問③解説の3本立てで構成されています。レジュメの部分では対象科目の1分野についての基礎知識がまとめられていて、過去問の部分では、過去問から抽出されたその分野の問題がまとめられています。つまり、上記で述べた基礎知識の勉強→過去問というプロセスを1冊で実現しているわけです。
私も、こうした優良テキストであるスー過去をメインに専門科目を勉強しましたが、経験上このテキストに記載されている事を全て理解してしまえば及第点は余裕で取れます。

ただし、レジュメページは各分野毎の要点をまとめた簡素な内容になっているので、深い理解が必要な経済学科目の勉強では、導入から勉強(他の説明が丁寧なテキストでさらなる基礎から勉強)するのが一般的です。(=つまり、①導入本→②導入本理解→③スー過去の順に段階を踏んで勉強していくということ。)
本記事でも、この段階を踏む方法を前提として
勉強法を検討していきます。


※メインテキストとしてクイマスも有名ですが、私としては、教養科目=クイマス・専門科目=スー過去が相応しいと考えています。詳しくは↓へ

 

www.dokugaku-koumuin.com

 

経済学を苦手にしないために

 

先に述べたように経済学科目の勉強をする際には、スー過去の前に導入本をやるのが基本です。公務員試験経済学にはミクロ経済学とマクロ経済学があるので、

  1. ミクロ経済学の導入本→ミクロ経済学のスー過去
  2. マクロ経済学の導入本→マクロ経済学のスー過去

という2つのプロセスを実行しなくてはなりません。しかし、経験上これでもまだスー過去に繋ぐ導入の勉強は足りません。具体的には、ミクロ経済学・マクロ経済学の勉強をする前に、経済学の基礎の勉強をする事をオススメします
大学の経済学部でも、ミクロ経済学やマクロ経済学といった専門的な経済学の授業が開講される2〜4年次の前の1年次に、「経済原論」など経済学の基礎科目が開講されています。これは私個人の考えですが、経済学ができない人は、経済学独特の基礎的な考え方やツールなどを理解せずに、いきなりミクロやマクロといった専門的な経済学の勉強を開始している事が多いように思います。

したがって、経済学が嫌いにならないためにも、私はミクロとマクロの前に経済学の基礎(学部の科目名で言えば経済原論) の勉強をする事を推奨します

よって、この記事では。経済学の基礎を勉強する前提で話を進めていくことにします。

 

経済学の勉強順序

 

経済学の基礎を勉強したら、次は試験科目であるミクロ経済学かマクロ経済学の勉強をすることになります。この2科目に関しては、勉強の順序が大切であるので次に勉強の順序を解説することにしましょう。

 

ミクロ経済学とマクロ経済学の順序に関してはミクロ経済学を先にやりましょう

ミクロ経済学は「ミクロ」の名がついた通り、

  • 個人・企業など個々の主体 や
  • 独占・寡占など個別の事案

についての理論や計算などを学ぶのですが

マクロ経済学は、

  • 1国ベースでの分析
  • 国際ベースでの分析

をメインとします。

そして、1国ベース・国際ベースでの分析には、個々の経済主体や事案を知っている事が前提となるのです。よって、ミクロ経済学よりマクロ経済学を先に勉強しましょう。

 

ここまでをまとめると、①経済学の基礎の勉強→②ミクロ経済学の導入本→③ミクロ経済学のスー過去→④マクロ経済学の導入本→⑤マクロ経済学のスー過去となります。

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公務員試験:ミクロ経済学の参考書と勉強法

 

ミクロ経済学のコツ

 

ミクロ経済学のコツは、理解に努めること。

よく言われるのが、理解せずとも

a)

b)mの問題が出たらxの解き方で問題に挑む

n)nの問題が出たらyの解き方で問題に挑む

 

というのをひたすら詰め込めばなんとかなる

という言い分ですが、一昨年の国家一般職のミクロ経済学が5問全て計算ではなく理論についての問題であったように、近年の公務員試験の難化傾向に伴って、計算問題のパターン暗記が通用しにくくなってきているので、そのような勉強法はやめた方がいいと思います。

全てを理解できるように勉強し、どうしても理解できない問題のみを、パターン暗記に頼るようにしましょう。では、具体的な参考書や勉強法を検討します。

 

ミクロ経済学と導入本

 

最初でつまずかない経済学について

2chでは、こちらの参考書が導入本として推奨されています。

 
しかし、公務員の人気上昇に伴う試験の難化により、専門経済で最も平易な内容であった特別区の問題ですら難化が進んだ現在では、この参考書はオススメできません。
なぜなら、理論や公式が出る度に
「経済学ではこう考えるのです」
と説明を省き、丸暗記させようとしているからです。
確かにこうしたやり方は、教養の社会科学で出題される経済原論程度のレベルまでは効率良く点を取れるかもしれません。
ですが、深い知見が必要な専門試験の経済学の勉強で理解することを避け、理論も含めて全てを暗記で済ませるのはかえって時間がかかってしまいます。
よって専門の経済学は、はじめから理論や数式の説明を丁寧に書いてあるテキストで少しずつ勉強していくべきです。
そこで私は代替案として、公務員試験用の参考書の中できちんとした説明が書かれている、以下のらくらく系の参考書をオススメします。
 

ミクロ経済学の勉強手順①:らくらく経済学入門たまごで経済学の基礎を理解

経済学の基礎の勉強として、まずはらくらく経済学入門たまごを使用しましょう。

らくらく経済学入門たまごは、ミクロやマクロにも通ずる経済学の基礎知識や考え方を理論や数式も含めてはじめからしっかりと説明してあるので初学者に優しいです。

 
 
具体的には、他の参考書のように経済学の個別の論点から入るのではなく、経済学の考え方や基礎準備など初歩の初歩から解説が始まっています。
目次
I ミクロ編 
Unit01 選択をする 
Unit02 すべてのモノが関係し合っている 
Unit03 定食のほうが単品よりもお得なのはなぜ? 
Unit04 どうして野菜の価格は変動しやすいのか? 
Unit05 格安航空券はどこまで安くできるのか? 
Unit06 「まとめて作る」効率性 
Unit07 カウントできない費用 
Unit08 幸せの度合いを視覚化させる 
Unit09 ゴミ袋有料化は正しい判断? 
Unit10 「全員参加」が市場を支える 
II マクロ編 
Unit11 なぜ道路は作りつづけなければならないのか? 
Unit12 政府支出がどのくらい経済効果があるのか? 
Unit13 所得を増やすために増税するのは矛盾では? 
Unit14 日銀も市場へ介入する 
Unit15 今すぐの1万円と1年後の2万円どっちが欲しい? 
Unit16 国債はいつ買って、いつ売るべきか? 
Unit17 どうして円高になるのか? 
Unit18 結局、失業はどうすれば解消できるのか?
 
目次を見ても説明が丁寧な事が理解できます。
普通の参考書なら
a) 上記Unit4の目次は価格弾力性
b) 上記Unit12の目次は乗数効果
のように具体的な専門用語となっていて、
a)価格弾力性とは⚪︎⚪︎である。
b)乗数効果とは××である。
のように展開されていくでしょう。
それに対しらくらく経済学入門たまごは、上記目次のようにあくまでも具体例を中心に説明を展開していき、最後に理論を一般化しつつ用語を定義しています。
経済は、専門の中で最も理解に時間がかかる科目なので、概観から細部への勉強を意識し、このように段階を踏んで勉強していくのがベストです。
  

ミクロ経済学の勉強手順②:らくらくミクロ経済学入門でミクロ経済学の基礎を理解

らくらくたまごが終わった後は、らくらくミクロ経済学入門で、試験科目であるミクロ経済学の基礎を勉強する必要があります。その点、同著者であり段階を踏んで勉強する事が想定されていて、らくらくたまごかららくらくミクロ経済学入門への移行は無駄が生じにくくその後のスー過去への移行も苦になりません。 
具体的には、難易度が
a)スー過去=8
b)最初でつまづかない=3
c)らくらく経済学入門=2
c')らくらくミクロ経済学入門=5
程度なので、
 a) 最初でつまづかない3→スー過去8
より
 b) らくらくたまご2→らくらくミクロ経済学入門5→スー過去8
の方が進めやすいということ。
 

ミクロ経済学の勉強手順③:スー過去で演習!

演習用のテキストに関してはスー過去でキマリ。
 
そもそも、スー過去が有名になったゆえんが、スー過去の経済学の出来がとても素晴らしかったからであり、実際に他の参考書と比べ問題の選定やレジュメの内容が段違い。
らくらくミクロを完璧にしたらスー過去を解きましょう。
 
※ 経済は苦手な人に差をつけやすい科目なので
時間があるならば、専門書の中でも演習系の教材も
やっておくとよいと思います。参考に↓
 
参照:経済学と専門書

www.dokugaku-koumuin.com

 

ミクロ経済学の参考書まとめ

らくらく経済学入門→らくらくミクロ経済学→スー過去

 

公務員試験:マクロ経済学の勉強法と参考書

 

マクロ経済学の概要とコツ

 

先ほども述べましたが、マクロ経済学では、ミクロとは違い国単位や国際間の経済理論・経済分析を学びます。

国単位での経済分析を行う際に、個々の経済主体やミクロ理論を知ってることが前提

となるので、マクロ経済学はミクロの後にやりましょう。

 

マクロ経済学はケインズ経済学とも言われる通り、ケインズの理論がメインになります。

よって、コツはケインズの考え方をまず理解することです。 他の理論も、ケインズの考え方や理論を展開したものが多いです。

例えば、

a)ケイジアンクロス(45度線モデル)

を理解すれば、その派生系である

b)ISLMモデル を容易に理解でき

さらに、ISLMに輸出や輸入を加えた

b')マンデルフレミングモデル

ISLMに物価の変動を加えた

b'')ADASモデル

なども簡単に理解できてしまいます

 

この記事の上の方で、丸暗記は効率が悪いと

いったのはまさにこのような点にあらわれてくるわけです。

 

マクロ経済学の勉強手順①:ミクロと同じように導入本はらくらく

マクロ経済学も、ミクロ経済学と同じくらくらくからスー過去に繋げていくのがいいでしょう。
ミクロ版もそうですが、2月に改訂もされています。
 

マクロ経済学の勉強手順②:スー過去で演習

マクロのスー過去も,ISとLMをそれぞれ個別の論点として取り上げている程度に網羅性が高いです。

スー過去を使わない手はないといえるでしょう。 

 

マクロ経済学の参考書まとめ

ミクロ経済学→らくらくマクロ経済学→スー過去

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