公務員試験の参考書と勉強法-独学式-

公務員試験に独学で合格するための参考書と勉強法をまとめたブログ

最大数併願時の科目優先順位

 

以前の記事で、公務員試験の最大併願数や専門科目の有無については確認をしました。↓

 

www.dokugaku-koumuin.com

 

また、一般論としての科目優先順位についての検討もしました。↓

 

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しかし上記の記事の優先順位は、

  • 憲法の理解が他科目に必要だから憲法の勉強を優先する

など試験のウェイトに基づいたものではなく、数値的裏付けのないものでした。

そこで今回の記事では、まずは併願可能な試験の専門科目と出題数を確認し、(教養科目については殆ど同じであるためカットします)次に最大数の併願をした場合の科目の優先順位を出題数という数値的なデータをもとに確認します。

それでは順にみていきましょう。

 

最大数併願時の試験科目と出題数

 

併願の記事で述べたように最大で

  1. 国総法律or国総経済
  2. 国税or財務
  3. 国家一般職試験
  4. 特別区or都庁(A日程)
  5. 地方上級
  6. 市役所b
  7. 市役所c
  8. 国立大学法人

の8つを併願する事ができます。

 

そして、この内国家専門職・国立大学法人を除く全ての試験で一般教養科目・教養論文・面接の3つが課されます。

違いがあるのは専門科目で、1〜8の試験の内、1〜5の試験では専門試験が設けられています。

先ほど述べたようにまずはこれらの試験科目と出題数を確認するのですが、細かいところまで確認し、複雑になってしまったのでは単純明快な答えが見えてこないため、以下の前提を設けた上で科目をみていきます。

  • 前提①:国家総合職試験・労働基準監督官試験・全ての試験の二次試験・裁判所事務官試験については独自の科目が多く、併願には向かないため、併願を前提とした上で科目の優先順位を確認するこの記事では検討外とする。
  • 前提②:出題数が全ての試験で殆ど同じである教養と論文部分は比較検討しても意味がないため、教養・論文・面接を所与として2〜5の専門科目について確認をする。
  • 前提③:専門科目を勉強している人の多数が専門職では国税財務労基を、A日程では都庁特別区を選択しているため、確認する試験はこれらに絞る。
  • 前提④:地方上級については、受験生の数が多い関東型とする。

 

国家専門職

  • 国税

必須:民法6 商法2 会計学8

選択:憲法3 行政法3 ミクロ3 マクロ3 財政学6 経営学6 政治学2 社会学2 社会事情2 英語6 商業英語6 情報数学6 情報工学6

  • 財務

必須:憲法7 行政法7 ミクロ4 マクロ4 財政学6

選択:民法5 商法1 統計学6 政治学3 社会学3 会計学6 経営学6 英語6 5情報数学6 情報工学6

 

国家一般職

選択:憲法5 民法①5 民法②5 行政法5 ミクロ5 マクロ5 財政学5 経営学5 政治学5 社会学5 行政学5 国際関係5 心理学5 教育学5 英語基礎5 英語一般5

 

特別区

選択:憲法5 民法①5 民法②5 行政法5 ミクロ5 マクロ5 財政学5 経営学5 政治学5 社会学5 行政学5

 

都庁

選択記述:憲法 民法 行政法 ミクロ+マクロ 政治学 行政学 社会学 財政学 経営学 会計学

 

地方上級関東型

選択:政治学2 行政学2 社会政策3 国際関係3 憲法4 行政法5 民法6 刑法2 労働法2 ミクロ7 マクロ7 財政学4 経営学2

 

以上より科目と出題数は把握できたので、次はこれら専門科目の優先順位を確認する事にします。

 

最大併願時の科目優先順位

 

試験科目についての確認をしたところで、次は最大併願時の科目優先順位について見ていきます。

具体的には、国家総合職を除いた7つの試験の教養・専門科目をすべて出題数を元に数値化し、より高い数値の科目ほど優先順位が高いものとします。

また、なるべく単純化するため優先順位を数値化するにあたって以下3つの設定を設けます。

 

設定①:専門科目は出題数に以下の操作を行う。

  1. 専門必須科目には 係数1 専門選択科目には 係数0.5を掛ける
  2. 1により係数が5未満になったものに、さらに0の係数を掛ける(マイナー科目を検討外にするため)
  3. 国家一般職は配点が教養の2倍、国家専門職は教養の1.5倍なため、それぞれ係数2、1.5を掛ける
  4. 1〜3により係数が少数になったものには、少数第一位が0か5になるように四捨五入を行う

 

設定②:教養科目は全試験の出題数を以下と固定し(全試験の傾向より)、係数を1としてかける。

  1. 現文5 英語5 数推5 判推4 資料3 空間3
  2. 日史1 世史1 地理1 思想0.8物理1 化学1 生物1 地学0.7 時事3 社会科学3

 

設定③:都庁の専門記述は特別区と同日程であるため、係数・出題数を以下とする。

  1. 出題数=5、係数=0.5

 

また、上記で述べた通り8つの試験を併願できるわけですが、

  1. 国税 財務
  2. 特別区 都庁

これらはそれぞれ1つしか受ける事ができないため場合分けをし、2×2で4パターンをみていきます。

 

科目優先順位(国税+特別区+その他6試験併願の場合)

 

教養優先数値

設定②より、1試験あたり

現文5 英語5 数推5 判推4 資料3 空間3
日史1 世史1 地理1 思想0.8物理1 化学1 生物1 地学0.7 時事3 社会科学3

よって、7試験で

現文35 英語35 数推35 判推28 資料21 空間21
日史7 世史7 地理7 思想5.6 物理7 化学7 生物7 地学4.9 時事21 社会科学21

 

専門優先数値

憲法14 民法27 行政法12 ミクロ14 マクロ14 財政学14 政治学9.5 社会学6.5 行政学8.5 経営学13 国際関係6.5 会計学11

 

総合数値トップ15科目

現文35 = 英語35 = 数推35 > 判推28 > 民法27 > 資料21 = 空間21 = 時事21 = 社会科学21 > ミクロ14 = マクロ14 = 財政学14 = 憲法14 >経営学13 = 行政法12

 

科目優先順位(財務+特別区+その他6試験併願の場合)

 

教養優先数値

上記と試験数は同じため

現文35 英語35 数推35 判推28 資料21 空間21
日史7 世史7 地理7 思想5.6 物理7 化学7 生物7 地学4.9 時事21 社会科学21

 

専門優先数値

憲法19 民法20.5 行政法20 ミクロ17 マクロ17 財政学18.5 経営学12 社会学9.5 行政学10.5 国際関係6.5

 

総合数値トップ15科目

現文35 = 英語35 = 数推35 > 判推28 > 資料21 = 空間21 = 時事21 = 社会科学21 > 民法20.5 > 行政法20 > 憲法19 > 財政学18.5 > ミクロ17 = マクロ17 >経営学12

 

科目優先順位(国税+都庁+その他6試験併願の場合)

 

教養優先数値

現文35 英語35 数推35 判推28 資料21 空間21
日史7 世史7 地理7 思想5.6 物理7 化学7 生物7 地学4.9 時事21 社会科学21

 

専門優先数値

憲法14 民法24.5 行政法12 ミクロ12 マクロ12 財政学12 政治学9.5 社会学6.5 行政学8.5 経営学13 国際関係6.5 会計学13.5

 

総合数値トップ15科目

現文35 = 英語35 = 数推32 > 判推28 > 民法24.5 > 資料21 = 空間21 = 時事21 = 社会科学21 > 憲法14 > 会計学13.5 > 経営学13 > ミクロ12 = マクロ12 = 財政学12 =行政法

 

科目優先順位(財務+都庁+その他6試験併願の場合)

 

教養優先数値

現文35 英語35 数推35 判推28 資料21 空間21
日史7 世史7 地理7 思想5.6 物理7 化学7 生物7 地学4.9 時事21 社会科学21

 

専門優先数値

憲法19 民法18 行政法20 ミクロ14 マクロ14 財政学18.5 経営学12 社会学9.5 行政学10.5 国際関係6.5 会計学9

 

総合数値トップ15科目

現文35 = 英語35 = 数推35 > 判推28 > 資料21 = 空間21 = 時事21 = 社会科学21 > 行政法20 > 憲法19 > 財政学18.5 > 民法18 > ミクロ14 = マクロ14 > 経営学12 

 

まとめ

単純に科目毎の優先順位を比較した場合、数的処理の優先度が高いのは勿論のこと、財政学・経営学の優先度が意外と高いことが分かります。

軽視されがちなこの2科目ですが、教養のみの試験しか受けない人以外は軽くでも勉強することをオススメします。

また、人文科学科目や自然科学科目などの知識分野に関しては、受ける試験が多ければ多いほど重要な科目である事が分かります。どの試験でも課されるこれらの科目は、1試験での1点分ならまだしも、多数の試験を受けるならば軽くでも勉強するべきではないでしょうか?

この記事は、試験科目という当たり前のものを数値化して優先順位を検討したわけですが、色々な事が確認できたと思います。経済学の予算制約線や無差別曲線を使用した分析などもそうですが、当たり前の事を詳しく考えてみるといった姿勢が、何かを考える上で意外と重要なのではないかと今回の記事を書いて思いました。

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